このページでは、遺言書の種類のひとつ「自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん/…いごん)」について簡単に解説します。

    

 

【このページを簡単にまとめると】

■自筆証書遺言は、全て自分で書く遺言書!

■簡単に書ける反面、書き換えられたり失くしたり疑われる危険性も!

■取り急ぎ用意しておきたい場合におすすめ!

 

どんな遺言書なの?

「自筆証書」とは、簡単に言えば「自分で書いた書類」のこと。

つまり、自筆証書遺言とは、全て自分で手書きした遺言書のことです。

世間で一番よくイメージされる遺言書が、この種類ですね。

 

全てを自分で書かず、「公正証書(こうせいしょうしょ)」という公文書の一種で作成する遺言書もありますので、それと区別する意味でも「自筆」と言われます。

 

どんな利点と欠点があるの?

 

【利点】

  • 費用を抑えられる
  • 基本的に紙とペンと判子があれば作成できる
  • 自分の好きな時に作成できる
  • 内容を誰にも知られずに済む

 

【欠点】

  • 法律で定められたルールを踏まえて有効に書けていない場合、無効となってしまう
  • 実際に相続が発生したとき家庭裁判所での手続きが必要となるため、1〜2ヶ月余計に時間がかかる
  • 改ざんや紛失のおそれがある
  • 本人が書いたという証明が難しく、疑われて争いを生む可能性がある

 

どんな場合にオススメなの?

自分で書く種類の遺言書(自筆証書遺言)は、簡単に書き始められる反面、とても不安定なものとなってしまいます。

その点では、公正証書遺言の方がしっかりしていて安心でしょう。

もちろんルール通り書けていれば(これも見落として無効になりがちですが)、自筆でも公正証書でも遺言書としてきちんと効力を持ちます。

 

  • 最終的にはしっかりとした公正証書遺言を作っておきたいものの、完成まで時間がかかるため先に“とりあえず”自筆で遺言書を用意しておきたい場合
  • 最初から公正証書で作るのは気が引けるため、練習もかねて“とりあえず”自筆で書いてみたい場合

 

こうした場合に、すぐに書ける自筆は有効でしょう。

     

 

気をつける点は?

さきほども書きましたが、自筆証書遺言にはルールがあります。

これを守らないと、どんなに素晴らしい内容の遺言書でも無効(効果がない)になってしまうので注意が必要です。

代表的なルールは以下の通りです。

 

  • 全ての文章を自分で手書きする
  • 書いた日付を年月日を明確に書く
  • 署名捺印をする

 

「えっ! 全部自分で手書きって、パソコンじゃだめなの!?」

ダメです。

ここが皆さん大変に思われる場所ですが、もしパソコンで作成した文章を印刷した場合は無効になってしまいますので、大変でも手書きをしましょう。

※もし手書きができない場合、公正証書遺言で作成することになります。

 

また、実際に相続になった時、遺言書を勝手に開けてしまってはいけません。

(封をしてあろうとなかろうと)中身を見る前に家庭裁判所で手続き(検認/けんにん)をしてください。

これには1ヶ月以上時間がかかる場合もありますので、相続の手続では注意が必要です。

※公正証書遺言の場合、検認の手続は必要ありません。

 

完成までの流れは?

 

自筆証書遺言を書く場合の、標準的な流れをご紹介します。

 

全てご自身で作成する場合

 

  1. 遺言のルールについて学びます。
  2. 財産を相続させたい人についての情報(戸籍、住民票など)を確認します。
  3. 財産についての情報(通帳、不動産登記事項証明書、車検証など)を確認します。
  4. 紙(とできれば封筒も)とペン(ボールペンや万年筆など消せないものがオススメ)と判子(印鑑登録してある実印がオススメ)を用意します。
  5. 法律のルール、実現可能性、誰が読んでも誤解しない表現などに気をつけつつ、文章を全て手書きで書き記します。
  6. (できれば、戸籍などの集めた書類や印鑑登録証明書と一緒に封筒に入れて封をし(実印を押印)、「検認」についてのメモをつけて)無くさないように保管します。
  7. もしもの時に家族や知人に見つけてもらえるように伝えておいて、完了です!

 

みけねこ事務所にご依頼いただく場合

 

【1】とりあえずみけねこ事務所にご相談ください。

【2】当事務所にて作成した原案を元に手書きしてください。

※必要書類は可能な限り代わりに集めます。

【3】完成です。

家族や知人など、信頼できる方に“もしもの時”は見つけてもらえるよう伝えてください。

 

単なる遺言書作成だけでなく、終活の視点からのアドバイスや、エンディングノート尊厳死宣言書その他の制度との併用についてもサポートさせていただきます。 

  

 

民法改正について(H30.09現在)

民法の改正によって、自筆証書遺言もいくつかルールが変わる予定です。

 

  1. 財産目録(遺言書で扱う財産の一覧)をパソコンで作成可能
  2. 法務局での保管制度がスタート(検認が不要)

 

ご注意として、現在はこれらのルールはまだ適用されていません。

(1については2019年1月31日から開始予定。2は未定)

1の場合でも本文は手書きする必要がありますが、細かい不動産の情報などはパソコンで印刷できますし、口座も通帳のコピーでOKなので、だいぶ楽にはなりますね。

 

まとめ

自筆証書遺言は、簡単にかける反面、いざという時に弱い部分もちらほらあります。

また、簡単に書けるといっても、自分の意思通りになる(家族の負担を減らせる)ような内容を考え、文章をきちんと誤解なく伝わるように書くためには、ある程度の知識と経験が必要です。

まずはご自分で書いてみて、もし悩んだときはぜひお気軽に行政書士 みけねこ事務所までご連絡ください。

単なる遺言書の作成だけでなく、お客様ご自身の将来のご希望も含めて、終活行政書士として親身になってお話をお伺いいたします!

   

       

 

 

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