遺言は、「感謝状」である
「遺言」なんて自分には関係ないし、書く時は最期の時でしょ?
こんな風に考えている方にお伝えしたいことがあります。
★遺言が必要かどうかは、財産の多い少ないに関係ない。
★遺言は元気なうちにこそ作っておくべき。
「そんなわけない」と思ったらぜひ本文を読み進めてみてください。
遺言って何?
先日、公正証書遺言について学ぶ群馬県行政書士会の研修に参加してきました。
感想は1つ。
「やっぱり遺言は大切だな」ということです。
そもそも「遺言」なるものは何でしょう?
「遺言っつったらアレだんべぇ、死ぬ前に書くやつじゃねぇんかい。まんず縁起でもねえや」
多くの方はこう思うのではないでしょうか?(群馬か)
私も今の仕事を目指す前は同じように考えていました。
ですがそれは「遺書」というものです。
遺書は、死ぬ前に遺すメッセージ。
遺言は、死後の法律関係についての意思表示であり、法律によって定められた形式によって記すことで法的効力を持つもの。
まずはここが分かりにくいですね。
ちなみに「遺言」は法律用語だと「いごん」と読みます。
もし「ゆいごん」ではなく「いごん」と言っている方がいても間違いではありませんが、専門家相手でもないのに「いごん」を多用したり「つまり“いごん”は……ああ、遺言は正式には“いごん”と言うんですよ、いやあどうも普段のクセが出てしまっていけない、ハハハ」と言ったりしている場合は単に専門家っぽく振る舞いたいだけの可能性があります。(個人的な主観
どうやって書くの?
遺言を書くための方法(形式)は、ざっくり分けると3種類あります。
自分で好きな時に好きな場所で書ける「自筆証書遺言」。
書いた内容は秘密だけど書いたこと自体を証明してもらえる「秘密証書遺言」。
内容も証明してもらえる上に役場でも保存してもらえる「公正証書遺言」。
それぞれの詳しい内容をまとめるだけでも最低各1記事(計3記事)くらい書けてしまうので詳細は省きますが、どれも法律に定められた形式で書かなければ無効になってしまうことだけ注意して下さい。
不安な場合は「公正証書遺言」にてお作りいただくか、専門家に一度相談されることをおすすめします。
案外知られていないのが、遺言を書くことができる年齢。
何歳になったら書くべきか、と訊けば多くの方が高齢になってからを思い浮かべるかもしれません。
ですが法律上は、
15歳から書けます。
逆に、認知症などの病気のために意思表示をする能力がなくなってしまえば、遺言は書くことができません。(書いても無効です)
後回しにした方がむしろ書けなくなってしまう可能性があるのです。
「割り切れない」相続のために
そうは言っても遺言なんて自分には必要ない、とお考えの方もまだまだ多いでしょう。
遺言の最大の効果は、やはり相続トラブルの予防。
ということは、相続ならぬ「争族」なんてものが起きそうになければ、遺言はいらないと思いがちです。
「大富豪じゃあるまいし、揉めるほど分ける遺産もないから」
「骨肉の争いなんて、うちの子どもたちは仲がいいから」
「わざわざ指定なんかしなくたって、平等に分ければいいから」
実はどれも「争族」に結びついてしまう可能性があるのです。
ポイントは、うまく「割り切れない」部分。
財産の多い少ないにかかわらず、不動産が占める割合が大きい場合。
現金と違って家や土地は当分に割り切れません。
相続する人が複数人いれば、誰か1人が家や土地という最大の遺産を相続しなければなりません。
(ちなみに「共有」として相続した場合、その子の世代、孫の世代と続くに連れ、共有している人数がネズミ講式に増えていきかねません。後に家や土地を売る場合には共有している全員のハンコが必要になります。ということは……)
現在は仲がいい場合でも、親亡き後に今までのわだかまりが出てきてしまう場合があります。
「私がずっと介護を」「あの時お前は大学に」「俺は後を継いだのに」「同居なら家賃だって」「あんたの子どもはお小遣いだって」……。
今まで感じてきた差を遺産分割の割合に求めてしまえば、もはや平等では納得できません。
感情は往々にして割り切れないものです。
遺言は感謝状
遺言がなければ、分割方法は相続する人全員の話し合いで決めなければいけません。
全員ということは、1人でも連絡が取れない人がいればすぐに話し合いが進められません。
話し合いということは、1人でも同意してくれない人がいれば話し合いが終わりません。
遺言がある場合に比べて余計に時間がかかってしまいます。
争いになれば余計な費用だってかかります。
遺産の配分をどうするかで揉めないよう、事前に配分を指定しておく。
差に納得できるよう、なぜその配分にしたのか理由も記しておく。
万が一の時に残される家族のためにも、財産を遺す本人の意思や想いをしっかり伝えることが大切です。
想いを伝えるためならエンディングノートも負けてはいませんが、エンディングノートには法的な効力はありません。
遺言を活用しない手はありませんね。
これもあまり知られていませんが、遺言は何度でも書き直すことができます。
いつ起こるとも分からない万が一に備え、まずは現状に合った遺言を早めに用意してみてはいかがでしょうか。
最後に、先述した研修で印象に残った言葉を紹介します。
遺言は、「愛のメッセージ」・「配偶者等への感謝状」又は「家族に送る最後のラブレター」といわれている。
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